「あ…先生、そういえば。」


ゆっくり休憩して、落ち着いた頃に、一つ言っておかなければならない事を思い出した。


「何?何かあった。」


「はい。まぁ、私の独り言だと思って聞き流してください。」


「内容によるね。」


くすっと軽く笑って、私の横に腰掛ける。


「春空に…ちゃんとごめんなさいって言ってきました…。」


「……そっか。」


その後、長い沈黙が続いた。


「………千音は、それで後悔してる?」


「いいや、してません。ただ…」


「ただ?」


どう説明すれば春空の痛みが伝わるのか、私にはそれをきちんと汲んで上げられているのか。


「かなり…春空の事、傷つけちゃったかもです…。」


「…そっか。」


さっきと同じ返事をして、私の頭を自分の方に抱き寄せる。


「傷つけたって分かってるだけ、いいんじゃない?」


「そうですか…?でも…」


「大丈夫。俺が春空に話聞いておくから。」


どんな時にも優しくしてくれる先生が、たまらなく好き。


一度失いかけたものだからこそ、分かった事なんだろうな、これは。