「じゃあね。バイバイ。」


「はい。さようなら。」


いい匂いをそこに残して、舞さんはいなくなった。


「私も帰るか…。」


今は立っているのが、息をしているのが精一杯だった。


落ちた鞄を拾って、ゆっくりと廊下を歩いていく。


(こんな気持ちで、この廊下歩くのなんて…初めてだ…)


いつもは先生とたくさん話した後で、一日で一番元気なくらいなのに…。


他より少し古びた校舎を出たら、広い中庭が私を待っている。


今日は、それだけじゃなかった。



いつも私が悩んでいる時に、余計私を悩ませる。


たまにびっくりする様な事も言うけど…。





「──なんでいるの…春空…。」