「先生のケチ…」


「まぁそう拗ねんなって。な?」


「もう良いですよ。どうせ私なんてまだ子供ですよ!」


「はいはい。俺が悪かった。そんな千音ちゃんに良い事を教えよう。」


「何ですか?」


食いつきえらく良いじゃねぇか。そんな事されると教えたくなくなる。


「今日、幸香が来る。ついでに希望もな。」


「ヤッター!それ本当ですよね!」


すごく嬉しそうにガッツポーズをする千音はさっきとは全く違う表情を見せた。


「ほんとだよ。そんな事で嘘ついてどうすんだ。」


さっき希望から連絡が来た。『今日そっち行くから』って。


「家帰ったらもういると思うけど…」


「分かった!じゃあ先生さようなら!」


部屋を勢い良く飛び出していく。


「余計な事教えたな…。やっぱ俺バカなのか?」


もっと千音と居たかったのに…。


まあ、どうせ家帰ったらいるし。


「すいません。月丘先生ですか?」


俺のこの後の計画をぶち壊してくれたのは教頭だった。


「この仕事が回ってきましてね。よろしくお願いしますよ。」


自慢のひげを撫でながら去っていった後には、大量の書類が置き去りにしてあった。


「マジかよ…終わんねーじゃねぇか…。」


帰れるのは10時越えるかもな…。



早く帰りてぇ…。