ノックをして入ってくださいと書いてあるのをいつも通り無視してガラリと扉を開ける。


「せんせー。千音です。」


「お前…ついに授業サボってまで来たのか…」


「違います!あの…新しい教材って預かってませんか?」


春空がいることを完璧に忘れてた…。


チラッと春空のほうを見てみると、眠そうに目を擦ってた。


「預かってるよ。あそこの棚に入ってる。」


「あ、ありがとうございます。」


重たそうな冊子がたくさん。到底一人じゃなんともならない量だ。


「手伝ってくれないんですか…?」


「後ろにいるじゃん。男の子が。」


不機嫌そうな表情で春空の方を指す。


「あ…そうだな。春空、手伝って。」


手首の裾を引っ張って、強引に棚の前に立たせる。


「多くね…?こんな量持っていかなあかんの?」


分かるよ。分かる。