「ふざけんな!お前が邪魔なんだよっ!」


母親が見たら絶対に怒るだろうなという光景。


いつも母親がいない時にこうやって喧嘩をする。


「お前のほうが邪魔なんだよ。勝手にこんなとこに居やがって。」


「んだと小娘!」


痛い。殴られた。


「ちょっと、千音!あんた何してんの!」


母親の怒った声がする。


「こいつにそこ邪魔、退けって言ったら殴ってきたんだよ!」


母親は水商売で生計を立てているため、派手な格好をしている。


「何で昭人(あきと)さんにそんな事言うの!」


私にそんな事言うのおかしいじゃん。その男に言えっての。


「もうアンタ出て行きなさい!」


そう言って、通学鞄と私の通帳が玄関に投げられた。


「分かった!もうこんな所出て行く!」


そう言って、私は、真っ暗闇に身を投げた。