「何でって…」


馬鹿正直に、『何かあったら困るから。』なんて言えないし、現に今その何かにあってるわけだし…


「特に理由は無いよ。ごめんね。何か悪い事しちゃって。」


目を逸らして小さな声でしか言えなかった。


春空が握る手首が思いのほか痛かったから。


「ふっ…」


軽く笑って、イジワルな顔をこっちに向けた。


(あっ…この感じ…先生と一緒だ…)


何か余計な事を私にしようとしてるときの先生の表情と似てる…。


「ごっ…ごめんね春空。また明日。」


「あぁ…ごめん。ほな、また明日。」


本能的に危険を感じたから、その場から逃げるように去った。