さくら


毎日はあっという間に過ぎ、北海道でもさくらの咲く季節になった。

5時間目。今は体育の授業中。
バスケットボールをやっている。
バスケなんか中でやるものなのに外でやるからすごいやりにくい。
やっぱ校庭といえばサッカーだよな。
あーサッカーやりてえ…。
でも授業でやるサッカーなんかつまらない。
サッカー部楽しかったな…またやりてえな…。
もうできないけど。
なんであんなことになったんだろうな。
母さんとの約束、こんなに早く破るなんてな。情けねえ。

「拓海!パス!」

え?
やべ、試合中じゃん。俺何ぼーっとして…

「いった」

人差し指に激痛がはしる。

「いってぇー…」
「おい拓海大丈夫かよ」

さっきパスを出した竹澤が走ってくる。

「骨折ったか?」
「これぐらいじゃ折らねえよ」
「どうした北川」

先生も来た。

「あーこりゃ突き指だな。おまえ試合中にぼーっとしてるからだぞ。保健室行って湿布でも貼ってこい」
「はははだっせー」
「竹澤は早く試合戻れー」
「はーい」

はーあ。突き指なんか何年ぶりだよ…。
先生に言われたとおり保健室に向かう。

「失礼しまあす…」

あれ?保健の先生いないのか?
しょうがない。自分で貼るか…。
置いてあった湿布の箱から湿布を出し、セロハンをはがす。
…なかなか上手く貼れねえ…。

ガラガラ
「失礼します…」

ん?誰だ?
あ。

「あ、北川くん」
「おー新海じゃん。どーした?」
「幅跳びで勢い付け過ぎて膝すりむいた」
「ははは。ばーか」
「うるさーい。北川くんは?」
「バスケで突き指」
「あはは。そっちこそばーか」
「うるせー」

新海が俺の手元にある湿布を見た。

「それ、貼ろうとしてるの?」
「うん、でもなかなかうまく貼れなくてさ…」
「貸して。私が貼ってあげる」
「おーさんきゅ」