「おはよー!ねえ、さくらいつ見に行くー?」
みなみは朝からハイテンションだ。
「早くしないと散っちゃうよね」
「私この前お姉ちゃんと行ってきたけどさ、結構綺麗に咲いてたよ」
「もう5月入っちゃったもんなー」
「私まだ行ったことないから早く行きたいー」
「あれ?真子前行ったって言ってなかったっけ?」
「丘の下から見ただけー。丘に登って見たことはないんだー」
「お?お?あれれぇ?」
みなみが目を丸くして聞いてきた。
「拓海、真子のこと真子って呼ぶようになったの?」
「え、ああ、まあ…」
「新海も拓海のこと拓海って呼ぶようになったんだよなー?拓海が拓海って呼べって言ったんだってー」
なんで知ってんだ?
真子がごめんのポーズをしながらこっちを見て笑っている。
「真子言うなよー」
「ごめんー」
「えー拓海だけずるいぞー。新海、俺のことも暁丈でいいからな!俺も真子って呼ぶから!」
「暁丈じゃなくてあっきーでしょ!真子ーあっきーって呼んであげてー」
「お前はいちいちうるせー」
「俺も優生でいいぞー」
…なんか。
ちょっと残念だな。
二人だけって感じで嬉しかったのに。
すると優生がいきなり俺の顔を覗きこんできた。
「な、なんだよ」
「おい拓海、ちょっと来い」
そう言って廊下へ連れだされた。
「お前、真子のこと好きだな?」
「は、はぁ?いきなりなんだよ!」
「図星だろ!だってさっきみんなが下の名前で呼ぶことになったときすげえ嫌そうな顔してたし!」
「う、うるせぇーー」
俺そんな顔に出てたのか?
