今は5時間目体育のあとの6時間目、数学の時間。
先生の話を聞いてるだけで眠くなる。
ついさっきの出来事を思い出すと、自然に顔が赤くなってしまう。

拓海が、本当のことを話してくれた。
すごく嬉しかった。
私があのとき言った言葉が、少しでも拓海の力になればいいなって心から思った。
拓海がずっと抱えてた苦しみ、それに比べたら、私の過去なんてどうってことないものなのかもしれない。
だから拓海に「真子もなんかないのかよ」って言われたとき、言おうかなって思ったけど。
やっぱりやめておいた。
恥ずかしいとか、なさけないとかじゃなく、単純に嫌われるのが怖かったから。
こうやって思うってことは、やっぱりもう、そうなのかな。

お前は俺を傷つけた。だから俺もお前を傷つけた。自分だけが被害者だと思うな。お前は人を好きになる資格なんてない。人に好きになってもらう資格もない。

そう言って彼は去っていった。

あれ以来、もう絶対に本気の恋なんてしないって決めてたのに。
今日初めて拓海のことを、本気で好きになりたいって思ってしまったの。