だけどここは俺も少し彼氏らしく。
「…悪いけどこの人は俺の彼女だからね。」
「な、」
「席空きましたどうぞ。」
俺も大人気ない。
でも凛を見ていたらこうもなる。
昔からそう。
凛はいじめっ子を虐待しちゃうほどの度胸があるんだ。もう男並みの度胸。
俺の言葉にホッとした妊婦さんはようやく席につけた。それを見届ける。
「……こんな公の場でらしくない。」
「悪いけどお前には敵わない。」
「あはははは。うけるぅー。」
「ハイハイ。」
そっと頭を撫でると照れたようにそっぽを向いた。
偶には可愛いところもあるもんだ。

