ーー奏也sideーー

俺は,金城奏也。
至って普通の男子高校生。

「おーい,奏也〜」

遠くから俺の名前を呼んで走ってくる男。
こいつは,俺の小学生からの親友,神谷大輝(かみやたいき)。

「大輝,はよ」

「おはよ,奏也!!」

通学路を今日もまた2人で歩いていく。


「奏也くぅん♪おはよぉ〜」

「……はよ」

誰だ,コイツ…話したことないよな…雰囲気から見るに,先輩だろうけど…
あ…敬語使うの忘れてた……。
てゆか,香水の匂いきつ…

俺は,香水の匂いに耐えられなかったので,スタスタと歩いていく。
あの先輩は,「きゃー!!挨拶返してもらったよぉ!!」と騒いでいる。

ただ挨拶返しただけなのに…。
まあ,いいや…行こ。

俺は,そそくさと校門を通り,校舎に入る。

「お前はモテモテでいいよな〜」

大輝が俺に言った。

「モテてねーよ,それにモテるなら好きな人にモテてーよ」

「え,お前好きな人いんのかよ!!」

「…一応?気になってる程度だけど」

「初耳なんだけど!?なんで言ってくれなかったんだよ!?」

「聞かれなかったから。」

そう言うと俺はスタスタと階段を登り,教室を目指す。
俺の後を走りながら追いかけてくる大輝。

これが俺の日常。