ーー花恋sideーー

君は人気者,よく男の子と一緒にいる。
たまに女の子ともいるかな。

今日もほら,仲良しな男の子と登校してきた。
くりっとした,大きい目に少し丸めの鼻は兎みたいで,すごく可愛い。
制服のセーターはダボダボで,そこもまた可愛い。

彼の名前は,金城 奏也(きんじょう そうや)くんと言うらしい。
クラスが違うから,良くはわからないけど…

そして,その彼を二階の教室から眺めている私は,
音坂 花恋(おとさか かれん)。
そこらにいる,ただの女子高生だ。
体型も,性格も平々凡々。
むしろ,地味すぎて目立たない部類かも……。


私は,金城君に中学の頃から片思いを続けている。


初めてあった時から,ずっと好きだった。

まぁ,俗に言う『一目惚れ』ってやつですね。
でも,クラスが違うから,こうやって自分の教室から奏也君を眺めることが
私の,朝の楽しみだった。


「かーれーん♪おっはよ〜☆」

元気な声で私の名前を呼び,挨拶をしてきたのは,私の親友,星名 光(ほしな ひかり)だ。
とても美人で,クラスの中心人物的なひとなので
かなり,他クラスからも人気を集めている。

「光,おはよ」

にこっと笑っていうと,光もにこっと笑って私の隣に座った。

「また,奏也くん〜?飽きないねぇ〜」

そう言われて,少し頬が熱を持ったことが分かった。

「あっ…飽きない…よっ」

「好きなんだもんね〜」

「う,そ…そうなんだけどさ…っ!!」

「なによ〜顔真っ赤にしちゃって,か〜わい〜♪」

光が私の頬をぐりぐりしてくる。

「ひはふ〜やめへ〜」

「あははっ,花恋ったら,可愛い〜」


これが私のいつもの日常。