『藤原君、何か嫌いな食べ物ある?』
「……え、なんだよいきなり。おまえ、まさか料理作ってくれる気?」
『残念だけれど、あたし透けてるからフライパン持てないじゃん。まあ、指南役でもつとめてみようかなと思って。藤原君、まじで今の食生活続けてたら早死にするよ』
如月はそう言って肩を竦めた。
意外に、彼女はそういうところを良く見ている。やれば大抵のことは出来る銀也だけれど、概ね面倒くさいという一言で片づけられてしまう。料理もそのうちのひとつだった。
今は海外でなにやら好き勝手事業をしているらしい父親から、それだけが親の義務と言わんばかりに、口座へ自動送金だけはされてくる。
ひとりで暮らすには充分過ぎるほどの金額だから、大抵食うには困らない。毎日、コンビニかスーパーで出来合いの総菜を買ったり、それも億劫であれば買い置きのカップラーメンで済ましてしまう。
「いいよ、別にそんなの。面倒だし」
『面倒でもいいじゃん。どうせ暇でしょ』
「はあ!?」
声を上げる銀也を無視して、すたすたとスーパーへ入っていく如月の後ろ姿を慌てて追う。入り口にあった買い物カゴを手に取り辺りをぐるりと見渡せば、如月がこっちこっちと大きく手を振る。

