愛の歌、あるいは僕だけの星


「藤原君、今日は予定があるんだっけ」

 シャワーを浴び、よれたTシャツとジャージからきちんとした私服に着替え始めた銀也の様子に如月はそう問いかけた。

 いつだって女の子を傍らに侍らせているイメージをもたれがちな銀也だったけれど、その実彼自身はあまりその状況を望んでいないようだった。それは、如月が銀也と暮らし初めて知ったことだ。

 週末の彼は大抵、部屋のベッドでぐうたらと横になってテレビを観ている。時折出掛けてくると言ったって、映画や過去の連続ドラマのDVDを纏めて借りてくるくらいだ。道を歩くだけで、自然と周囲の視線を集めてしまうのも煩わしいんだろう。それに関しては不幸であるとしかいいようがない。

 そんな銀也だから、珍しい。昨日だって、慣れないことばかりをして疲れているに違いないのに。

「観たい映画があって」

「え?」

「如月も、確か観たいって言ってなかったっけ。よかったら、一緒に行く?」

 ぱちり、大きく瞬きをした如月に、銀也はどこか気まずそうに首筋に手をやって俯いた。そっと、テーブルに置かれたチラシを見やる。黙ったまま何も言わない如月を、そっと伺う。