愛の歌、あるいは僕だけの星


「そんな、つちのこでも見つけてしまったみたいな表情すんのやめろよ。喧嘩売ってんの?」

『や、いやいや、まさかそんな!』

 オーバーなくらいにぱたぱたと手を振る如夏に、銀也はやれやれと肩を竦めた。

「別にいいけどー」

 そう言って、傍にあったコンビニの袋を手にとり歩き出した。

『え、帰るの?』

 慌てて後を追う。銀也は、振り返ればすっかりいつもの飄々とした様子だ。

「いつまで、こんな薄暗い公園にいるつもりだよ。そのうち、不審者扱いされて通報されるぜ。そもそも、俺はプリン食べたかっただけだし」

 そういって、ビニール袋を持ち上げて見せた。まったく、藤原君て素直じゃないなと夏は心の中で呟く。

 小走りで追いついた、銀也の隣。

「なにニヤニヤしてんだよ。きもいし」

『えへへ。だって嬉しいんだもん』

 ケッと、銀也は顔を逸らす。
 他人から見れば、そこにいるのは銀也という天の邪鬼がひとりだけ。けれど、夏はいま、確かに彼の隣にいる。夢でも、幻でもない。