愛の歌、あるいは僕だけの星


『ふ、ふふ、ふじわらくん!』

 華麗に宙を舞うのを目の当たりにした夏に動揺が走る。ゆっくりと、銀也が振り返った。

 呆然とした。

(綺麗だな)

 本当に、ただそれだけを思った。月明かりをバックにした銀也。薄茶色の髪は光を孕んで柔らかくなびき、白磁のような肌はよりいっそう輝きを増す。ぼんやりとしている夏にはお構いなしで、銀也は口を開いた。

「そんな、言葉が欲しくて、探し回ったんじゃないから」

『……え?』

 さっきまでずっと避けていたくせに、今度は真正面から夏を見据える。なんなんだろうと、夏の、止まったはずの心臓がざわめく。

「むしろ、謝るのは俺の方だし」

 出会った当初からは、それこそ想像も出来ない銀也の言葉だ。あの、藤原銀也が、よもや謝罪だなんて。

『だ、大丈夫?頭でも打った?それとも寝不足?』

 動揺を隠しもせず、バカ正直に問えば、銀也はムッと口を尖らした。

「いたって、平常なんだけど」

『嘘でしょ!?』

「ほんと、ムカつく女だなあ」

 えへへ、ごめんね。そう言ってぺろりと小さく舌を出す夏に、今度は銀也も呆れたように笑いをこぼす。そして、さっきは言えなかった言葉を言った。