愛の歌、あるいは僕だけの星


『……ふんだ、何よ、藤原君のバーカ』

 どうして、こんな、ちょっと泣きたい気持ちになっているの。
 俯いた時、ベッドの上に無造作に放られたスマホと、四つに折り畳まれたチラシが目に入った。そっとスマホを開けば、地図アプリが表示される。検索された履歴を見て、夏は小さく息をのむ。そして、開いたチラシは、前に夏が銀也にこれが見たいと騒いだ映画館のものだ。

 自然と、両手で口を覆う。

『……ふじわらくん』

 玄関に行く。
 銀也の靴は、随分と泥だらけで、普段学校と家を往復するばかりの彼の生活には見合わない有様だ。

『ばかだなあ、ほんとに』

 そっと、チラシを撫でて、夏はそっと玄関の扉をすり抜けた。