愛の歌、あるいは僕だけの星



 ***


 ばたんと玄関の扉が乱暴に閉められて、一気に部屋が静まりかえった。

『なによ、藤原君のやつ。どうして、いきなり喧嘩売られなきゃなんないのよ』

 苛々しながら、勢いよくベッドへと腰掛けた。
 酷いことを言われた。幽霊のくせにとか、迷惑だとか、その通りだけれどやっぱり傷ついた。それに、あんなにも冷たい目をした銀也を、久し振りに見たなと思った。最近は、出会った頃に比べて、少しだけど、笑うことも増えていたから。

『迷惑かけてることなんて、知ってるよ』

 いつだか、銀也が自分を好きな女に対して、その言葉を使っていたのを夏は覚えていた。銀也の言葉は冷たい。今あるものが、すべて抉られて消えてしまいそうなくらいに。

 銀也が、自分に対してとにかくとても怒っているという事は、よくわかった。

(もしかして。あたしが、消えたと思って喜んでたのかな。それなのに、呑気にテレビなんか見てたから、がっかりして、ムカついたのかな)