愛の歌、あるいは僕だけの星


『無断外泊ってなによ!藤原君はあたしのお父さんなわけ!?娘の無断外泊は許せませんって?……何様なのよ!』

 如月の勢いに、銀也は一瞬たじろいだ。どうやら、普段少しずつ蓄積された不満がこれをきっかけに爆発したといった様子だ。

『藤原君だって、いっつも何も言わずに外泊するじゃん!』

「何か問題ある?俺の勝手だろ!」

『矛盾してる!』

 怒鳴りたいだけ怒鳴り合って、はあはあと肩で息をする。そして、ようやく苛立ちも鎮火して、代わりに気まずい沈黙がふたりの間に訪れた。怒鳴り合いから一転して、互いに口を開かない。

(なんだよ、如月のアホ!)

 口に出せば恐ろしいので、心の中で毒づいてみる。
 とにもかくにも、気まずくて仕方ない。耐えきれない。そもそも、銀也はこういうやりとりが大の苦手だったはずだ。なぜだか彼女が相手に限り、感情のセーブの仕方を忘れてしまっていたけれど。