「俺、そろそろ部屋に戻るわ」

 銀也は、ゆっくりと身体を起こして、まだ天体観測を楽しんでいる蒼井達に告げた。

「ええー、銀也君もう行っちゃうの!?」

 名残惜しそうに口を尖らす三原に苦笑いしながら、ぱたぱたと服についた汚れをはらう。

「また後でな」

「はい。俺も、もう少ししたら部屋に戻りますね」

 去っていく銀也の後ろ姿に、「ちぇっ」と口を鳴らした三原を見て、蒼井がくつくつと笑いを漏らす。

「なんだ、三原さんも会長がお気に入り?」

「……まあねー」

 つんとそっぽを向いた三原に、蒼井はずいぶんと驚いた顔をした。転校してきたときは、誰にでも可愛らしく振る舞っていたと思ってたけど、ずいぶんと印象が変わった。