愛の歌、あるいは僕だけの星


「俺、正直あなたが会長って知った時、副会長辞退しようと思ったんですよね」

「酷くない? それ」

「いやいや、酷いのは会長の生活態度じゃないですか。女性はとっかえひっかえ、授業はさぼる、なんでもない顔して嘘をつく。噂だけを信じるのもどうかと思って結局は引き受けましたけど、概ね真実のようでしたし」

 カップに紅茶を継ぎ足しながら、少し昔のことを振り返りながらどこか楽しそうに蒼井は口元を緩める。

「でも、会長は最近変わりましたよね」

「またそれか。本当、正直うんざりしてるし耳タコだからやめて欲しいんだけど」

 銀也がげんなりと呟けば、くつくつと蒼井が笑う。

「さすが会長。皆の興味関心度ナンバーワンですね」

「全っ然嬉しくないし、ほっといて欲しい」

「でも、俺は嬉しいですよ。だって、こんな風に会長と話が出来る日がくるなんて、思いませんでしたから」

 いつも、愛想だけはいいくせに、心は随分と遠い場所にあるようだった。瞳には映っているはずなのに、まるで自分が透明人間にでもなってしまったかのような不安があったと、蒼井は言う。