愛の歌、あるいは僕だけの星


 蒼井は、おもむろにロネオに入っていた書類の束を銀也へと手渡した。毎年恒例となっている夏期休暇中の林間学校の計画と、次期生徒会を決定する生徒総会のスケジュール。この時期を多忙にする二大イベントだ。

「蒼井、こんな大事な時期に、ほんとごめん。怒ってる?」

 おそるおそる問えば、蒼井はやっと理解したかとじっとりとした視線を銀也へと向けた。

「ええ、心の底から」

 絶対零度の怒りを肌で感じる。まだ、担任であるゴッツのように真正面から怒鳴られたほうがましだとさえ感じる。怒らせると一番怖いのは、蒼井のようなタイプなのだろうなと銀也は思う。

「……まあ、自分に対して、ですけどね」

「は?」

「生徒会長の異変を察するのも、副会長の仕事でした。それを怠っていた自分が情けないです」

 思わず呆れて、蒼井を見た。
 なんて、なんて真面目なのだろう。銀也は、まじまじと蒼井を見つめる。というか、ここまでくるとただの仕事馬鹿なんじゃ、と失礼なことを思う。いくらこの学校が自治を重んじる校風とはいえ、アルバイトのように給料が出るわけでもないのに。