愛の歌、あるいは僕だけの星


 そう言って踵を返す。職員室から出ようとしたところで、ゴッツが「藤原」と少し固い声音で言う。

「お前が殴った、原田だがな。あの後、念のためと検査入院することになって、そのままずっと学校に来てないんだ」

「……へえ?」

「頭を強く打ったから、大事をとってということなんだが。別に見舞いに行けといっているわけじゃないが、一応知っておいた方がいいだろう」

「お気遣いどうも」

 そっけなく答える銀也に、ゴッツは咎めるようなことは言わず小さく頷いた。なんとなく、もやもやとしたものが内側から滲む。ぎゅうと拳を握った。以前は気にもしなかったくせに。急にこれを感じる恐怖心が、なくなるわけではないけれど、少しずつ受け入れていきたいと思ったのだ。


「藤原」

 休み時間、ひとりぼんやりと窓の外を眺めていた。夏は、愛猫である鈴のこどもを見に行くのだと言って、今日は学校へは来ていない。

「神谷さん」