震える手を重ねた。
すり抜けないように、そっと。
(涙を、すくうことは出来ないけど)
それがこんなにももどかしいことだなんて。
銀也は、悔しさに歯噛みする。
『銀也、……心臓を震わせるくらいの感情は、怖いだけ?恐ろしいだけ?』
「……それは」
ざわりと、高い波が押し寄せる。
その感情という波に、名前をつけるとするなら。苦しい、痛い、怖い……、どれもしっくりとこない。
『銀也、少しだけ、近づいてもいい?』
とくん。
またしても、震えそうになる手を、その小さく儚い手のひらが、しっかりと握りしめる。苦しげに歪めた顔を、綻ばせた。
「いいよ」
夏が微笑んだ。
心臓の音は、静まるばかりかその音をどんどんと大きくしていく。それに比例するように、波はどんどんと高くなって。

