愛の歌、あるいは僕だけの星


 夏は、今まで銀也が自分のことについて話すのを、聞いたことがなかった。他人から、一歩どころか長い距離をずっと置き続けてきたのだろう。人に自分をさらけ出すことも、逆に他人を求めることも銀也はしない。

 面倒くさいと、煩わしいと、いつもそうやって生きてきた。
 けれど、今夏の目の前にいる銀也は違う。少しずつ、少しずつ、変わっていった。今日だって、あんなに具合が悪そうだったのに、夏に会いに来てくれたじゃないか。

 胸の奥がきゅっと切なさに痛む。
 もう死んでいる身のくせに、心は痛むものなんだ。
 
 感情の波が余りに高すぎて、銀也の心の枷が外れかかっている。自分でも理解し得ない変化が怖くない人間なんて、おそれない人間なんているのだろうか。

「……夏」

『銀也のこと、もっと、ちゃんと知りたいよ』

 涙に滲む瞳を、夏は真っ直ぐに銀也へと向けた。