愛の歌、あるいは僕だけの星


 泣きそうな顔をする夏に、そっと微笑んだ。
 とく、とく、音を立てる心臓。そっと左胸に手のひらを当てれば、小刻みに跳ね返す絶え間ない鼓動。生きている証。

「ここ、触れて?」

『ええ!?』

 夏が突然ひっくり返るような声を上げた。
 明らかに動揺している夏を、銀也が怪訝そうな目を向ける。

「おい、なんかやらしいこと考えてんの?この変態」

『ちょっと!それ、銀也にだけは言われたくないから!』

「なんだとっ……、て」

 だめだだめだ、これじゃいつもの二の舞だ。
 小さく頭を横に振る。

「いいから」
 
 促すように言えば、夏は少し照れた様子で「……じゃあ」と呟いて、その半透明な腕をそっとのばした。冷やりとした空気を、服の上から感じる。

『心臓の音。どきどきしてる』

「……うん。最近、じぶんの心臓の音がすごくうるさい」

『止まったら、死んじゃうじゃん』