「……むしろ、そんなに望むものなんてなかった。興味本位で手に入れたいくらいの気持ちで。面倒になったら、切り捨てて」
『そっか。そうかも、しれないね』
切り捨てていた。
感情も、人間関係も、いらなくなったもの、面倒なもの全部。そこに、もしかしたら何か大切なものもあったかもしれないけれど、所詮とりもどすことの出来ない過去など、端から惜しむこともなかった。
夏は、そんな銀也をいちばん近くで見てきたから素直に頷いた。そこに、当然慰めの言葉がないことが銀也には嬉しかった。
「やっぱり、夏は夏だなあ」
『なによ?それ』
「誰も甘やかさないところ」
そう言えば、一瞬、夏が傷ついたような顔をした。瞬時に、神谷レンゲが思い浮かぶ。おそらく、夏の心残りである彼女のこと。
「……甘やかさないけど、見捨てない」

