「食欲はどう?」
「……えーっと」
「食べられるなら、少しだけでもお腹に入れた方がいいわよ」
半ば強引に連れられて、階段を降りる。リビングに入った瞬間、目の前の光景にぎょっとした。
(父っ!!)
テーブルには、既に夏の父親が席について待っていた。
「おお、起きたか。具合はどうだい?」
「大丈夫です。すみません、ご迷惑をお掛けして……」
「いいんだよ。さあ、座りなさい」
にこやかに笑って父親に手招きされる。夏も、側にあるソファに腰掛けてこちらを見ている。そっと睨むものの、にやにやとするばかりで話にならない。
なんだか、おかしな展開になってきた。
出された夕ご飯は、白米にブリの照り焼き、ほうれん草のおひたしになめこの味噌汁。なんとなく、夏が得意とする料理に似ている。きっと、夏に料理を教えたのは彼女の母親なんだろうなあと銀也は思った。

