愛の歌、あるいは僕だけの星


 そう言って差し出された紙を見て、顔を赤らめる。夏の母は、くすくすと笑いをこぼしながら、

「もっと身体を大事にしてあげてね。今のあなた、なんだかボロボロだから。私、これでも昔は看護師だったの。見てられないわ」

 と窘めるように言った。よくもまあ、初対面の人間相手にずばずば言うなと感じながらも、曖昧に頷く。確かに、ここ最近体調は優れなかった。

(まあ、何しろ五日間も引きこもってたしな)

「おうちの人に連絡した方がいいんじゃない?」

「俺、今一人暮らしなんです。色々とありがとうございました。それじゃ、そろそろ……」

「ダメよ」

「え?」

「一人暮らしだなんて。せめて、今日くらいはしっかりここで休んでから帰りなさい」

「えええ!?」

 再び目眩がした。大丈夫か?この人。いくら、娘の同級生とはいえ、見ず知らずの人間を家に止めるなんて。正気なのだろうか。ちらりと夏を見れば、困ったように苦笑いをしていた。どうやら、昔からこういう性格の人らしい。