「藤原と夏の話をするのは、なんだか変な感じする」
「いや、だから……」
「夏が死ぬ少し前にさ、私……、夏とケンカしちゃったんだよね」
「……え?」
夕暮れの、しんと静まりかえった教室に、神谷の声だけが響く。どうしようもない後悔が滲む声音に思わず息を呑む。
「藤原が、夏のことどのくらい知ってるかは分からないけど。夏ってね、とにかく真っ直ぐな子なの。自分にも相手にも」
何を思い出しているのか、懐かしそうに目を細めながら言う。ああ、確かにそうだなと思った。
いつだって、自分の考えを真っ直ぐに口にする。銀也に対してもそうだ。ダメなところはダメだと遠慮なく叱るし、嬉しかったら満面の笑顔で、ありがとうと言う。けれど、辛いことや悲しいことは、我慢してしまうところがあるから、出来ればそれもすぐに伝えてくれればいいのにと思うのだけど。

