愛の歌、あるいは僕だけの星



 ***


「んー……」

 日の光が眩しい。ごしごしと目をこすりながら、寝返りをうつ。夜にかけた冷房のタイマーは切れていて、部屋にはじわりと熱がこもっている。

「夏ー、今何時?」

 返答はない。
 銀也は、がばっと跳ね起きた。自分しかいない空間を見回して、「そうだった」と呟く。スマホに表示されている時刻を見て、あーあ、と声を漏らし目元を腕で覆った。

「九時って。授業始まってるし」

 サボろうかどうしようか迷ったあげく、今日の時間割を頭に浮かべて、ひとまず向かうことに決めた。三限にある担任ゴッツの授業を休むと、後々何かとうるさいのだ。

 さすがに朝ご飯をつくっている暇もない。ガラスのコップに水道水をいっぱいだけ注いで一気に飲み干す。夏にせかされることもないので、呑気に着替えながら家を出た。授業はとっくに始まっていたので、当然通学路に学生は自分しかいない。照りつける夏の日差しが眩しかった。