カーン!
 道端に落ちていた空き缶を苛立ちのままに蹴り上げた。それは、綺麗な弧を描きながら遠くに飛んで、そのまま停車していた車へとぶつかった。
 
 黒塗りの高級車。

「やばっ」

 中か人が出てくるのを見て、慌てて逃げる。足早にアパートまでの道を行き、鍵を開けてようやくほっと胸をなで下ろした。

 ぐるりと部屋を見渡しても、夏の姿はない。そのまま、鞄を乱暴にベッドの上へと投げつけて風呂場へと向かった。

 ばしゃばしゃとシャワーを冷水のまま全身に浴びる。ごしごしと、必要以上に力を込めて身体をこすった。生徒会室でのことを思い出せば、自己嫌悪にじくじくと胸が痛む。

「ほんとに、最低。いっぺん死ねよ、俺」

 なんで、あの時。
 思い出して、ぞわりと鳥肌が立つ。口元に手をやって、思わず俯いた。