精神的疲労が大きすぎて、のろのろとシャワーだけを浴びてベッドへと横になった。このまま、朝になったらやっぱり夢オチでした、という展開を大いに期待しつつ銀也はそっと瞳を閉じた。
それから、2時間くらい眠っていただろうか。
耳元でスマホのバイブがうるさい。このまま暫く無視をしていれば諦めるだろうと放っておけば、誰かが銀也の身体を揺する。
『藤原君、電話だよ』
「……んう……」
『もう!藤原君ってば!着信!着信!!』
首筋に、冷やりとした空気を感じる。そして、その冷たい空気がそのまま首筋から背中へと撫でられるように伝わり、銀也は思わず飛び起きた。
「ぎゃっ!なんだ、今の!!」
『やっと起きたー』
「な、な……っ、」
あまりの恐怖に硬直したまま動けずにいた銀也の様子などちっとも気にする様子のない如月が、ハイと未だしつこく鳴り続けるスマホを銀也へと手渡した。
茫然自失で、着信相手など見る余裕もなかった。受け取るままにそのまま通話ボタンを押す。その瞬間、鼓膜に突き刺さるヒステリックな声にようやく銀也は意識を取り戻した。

