愛の歌、あるいは僕だけの星


『藤原君って、ひとり暮らしだったんだね』

「何を今更」

『今更じゃないよ。だってあたしは知らなかったもん』

「ふうん。父親の仕事の都合で、受験の時にこっちの高校を受けたから」

『地元は?』

「いろんな場所を連れ回されたから、そういうのはないけど……。ていうかさっきから何にやにやしてんだよ」

『別に。あたし、生きてた時は藤原君からこういう話全然聞いたことなかったし、なんか嬉しいなと思って』

「……他人のこんなん聞いて嬉しいって。意味わかんね」

 笑みを浮かべている如月の姿に銀也は眉を寄せる。なんだか居心地が悪くて、銀也としては不満だらけだ。けれど、仕方ない。どう追い払おうとしても無理なようだから、今夜一晩くらい我慢するしかない。

(別に、呪いとか信じているわけじゃないけど!)