愛の歌、あるいは僕だけの星


 やっぱり違う。ないない。如月は、まったく自分のタイプじゃない。間違って手を出すタイプでもない。銀也は、密かに如月を見定めて、改めて頭を抱えた。それが一体なぜ、こんなことに。
 幽霊と同じくらい信じていなかったけれど、こんなとんでもない不幸を自分に押しつけた神様を本気で殴り飛ばしたくなった。

『でも本当、助かるよ。死んだと思ったらこんなことになっちゃってさ。正直途方に暮れてたんだよ。まさかこうして相談相手が出来るなんて思わなかったから』

「……そりゃよかったな(ていうか、相談相手!?)」

『それで、藤原君。ここ、もうひとつ部屋とかないの?』

「はあ?」

『だって、あたし女の子だし。さすがにいい年の男女が同じ部屋なんて色々問題じゃない?不健全といいますか』

「なめてんのか!しがない一般学生が部屋がふたつもみっつもあるでかい家に住めるわけないだろ!」

 銀也は、勢いよく立ち上がり戸を開けた。

『お……、押し入れ?』

「アンタの部屋はここで十分だっつの!しかもお前幽霊じゃん。暗いところ好きだろ」

『は、腹立つー……。ていうか、それ偏見!』

「うるさい。塩まくぞ!」

 如月は、ブーブー文句を言いつつもベッドから立ち上がり押し入れに腰掛ける。きょろりと自分の領域となる空間を見渡した。