愛の歌、あるいは僕だけの星


「……何やってんだろ、俺」

 ぽつりと呟く。
 もしも、ほんとうに如月が自分の隣だったら、どうだっただろう。銀也は、真横に置いた花瓶を見つめながら、考える。さぼろうとすれば引き留められたり、授業中に居眠りしようものならつねられたりするのかな。容易に想像できて、なんだか面白くなってくつくつと笑う。

 "もしも"だなんて、これまでだったら絶対に使わない言葉なのに、気づけば自然とそれを使っていた。

 もしも、如月と席が隣同士だったら。
 もしも、如月が生きているときにもっと、言葉を交わしていたら。
 もしも、……。
 
 はっとして、いきなり思考の波が引く。じっとりと、掌に汗が滲んでいる。ぞわりと全身が総毛立ち、心臓がばくばくと激しく鼓動する。感じたことのない、抑えの利かないそれに、恐怖さえ感じた。