愛の歌、あるいは僕だけの星


 男が、というよりは、むしろ銀也のようなタイプの人間がどういう風に感じるかを分かっているような。

 夏の視線に、三原が気づくはずもない。けれど、まるで彼女がこちらを見て不適に微笑んでいるように見えるのはなぜだろう。自然と顔を曇らせていた夏に気づいた銀也が、不思議そうにしている。

「銀也君」

「何」

「一緒に、教室戻ろ。予鈴鳴っちゃうよ」

 銀也は、仕方ないと小さく頷いてそのまま夏の方を振り返ることなく、ふたり並んで教室へと戻っていく。その背を見送りながら、じくじくとお腹の底でうずくような苦々しい気持ちに、夏は小さく眉を寄せる。

(あたし、なんでこんなムカついてんだろう)

 生徒会長と転校生の恋とか自分で言っておきながら。すっかり遠くなってしまったふたりの背をもう一度見やる。

『……お似合いじゃん』