愛の歌、あるいは僕だけの星


「あ、銀也君」

「……何してんの、屋上に何か用?」

「用っていうか、銀也君探してたんだけど」

 そこにいたのは、今日転校してきたばかりの三原だった。銀也は、すっと口元に笑みを浮かべて綺麗に微笑む。彼お得意の表情だ。

(藤原君、怖い……)

 まるで、無機質な物でも見るような眼差しで階段の上から彼女を見下ろす。けれど驚くべきはその三原だった。

「昼休みに、校内の案内をしてもらえないかなと思って」

 そういってにこりと笑うのだ。その緊張感のないマイペースな物言いに、銀也からもふと硬さが抜ける。

「そうなの?わざわざ俺のこと探さなくたって、クラスメイトに頼めばいいのに」

「下心ある子達って苦手だから。銀也君なら分かるんじゃない?クラス委員の神谷さんて子に聞いたら、銀也君は大抵屋上でサボってるっていうから」

「……げ、なんで神谷さんにバレてるんだ」

『ふふ、レンゲの情報収集力は半端ないんだよ』

 さりげなくそう言えば、銀也は嫌そうな顔をしつつ溜息を落とす。おそらく面倒な女につかまっちゃったなあくらいに思っているんだろう。けれど、それだけじゃ済まない強かさを彼女から感じるのは、女である自分だけなのだろうか。夏はそっと顔をしかめる。