愛の歌、あるいは僕だけの星


『おおっ!上手!』

 とろりと半熟のオムレツ。ライスを乗せた大皿の上に、ゆっくりと滑らせた。銀也が、くるりとフライパンを反転させそのまま器用に引けば、綺麗な半月の形になった卵が現れる。

「いい感じ?」

 すっと切れ目を入れた瞬間、とろりと開く卵がきらきらと輝いて見える。ちらりと如月を見れば、彼女も満足そうに頷いている。

 ケチャップをかけ、出来上がったオムライス。使い捨てカメラを取り出して、じりじりとダイヤルでフィルムの巻き上げをする。

 ぱしゃり。
 小気味良い音とともに、シャッターを切る。

『ふふ、色んな料理たくさんつくって後で現像しようね』

「……いいけど。なんでこれ?スマホでも撮れるのに」

『藤原君、どうせスマホで撮ったって現像しないでしょうが。あくまでこれは、レシピ本に貼る為の資料なんだからね』

「ふーん」

 ぱしゃり。

『ちょっと、あたしのことは撮らなくていいから!』

「卵と如月っていうタイトルにしよう」

『……いっとくけど、現像してもあたしは写ってないよ。きっと』
 
「わかんないじゃん、そんなの」