仕方なしに、野菜を手に取る。玉葱、人参、ピーマンは粗めのみじん切り、マッシュルームは薄くスライス。色鮮やかな野菜が、あっという間に形を変えてまな板の上で山になっていく。包丁など殆ど使ったことがないだろうに、その扱いのうまさに如月は思わず目を見張る。
『藤原君、すごく手際良いね……、びっくり』
「……まあ。中学の頃、少しだけ料理したことあるから」
『そっか、なら良かったよ。それじゃ、次はコンロに火を点けてねフライパンを熱して』
「はいはい」
『バターを使うとまたコクも出るんだけどね、その分重くなっちゃうからそれはまた藤原君の体調が万全なときに』
そう言って、如月はまたビニール袋を指さす。取り出したのは、濃い緑色の硝子瓶だ。ラベルには洒落たフォントでオリーブオイルとある。
「俺、こんなのカゴに入れたかな」
『ふふふ、藤原君が空腹で意識が朦朧としているときに入れてもらった』
「おまえ、さてはピーマンもその流れで入れさせただろ」
『……ほら、そんなことよりちゃんと木ベラでかき回してね』

