愛の歌、あるいは僕だけの星


『で、嫌いなものは何ですか』

「……セロリ。あと、ピーマン」

『ふふっ、藤原君ピーマン食べられないんだ。可愛い~』

 にやにやとしている如月を本気でどついてやりたかったけれど、何しろ人目が多すぎる。ひとりで怒鳴っている変な男として見られるのはあまりに不本意だ。

『じゃあじゃあ、洋風と和風でいったら今日の気分はどっち?』

「んー、洋風かな」

『了解。そしたら、面倒くさがりの藤原君でも簡単にマスター出来ちゃうレシピにするからご安心を。まずはそこのタマネギと人参とグリーンピースをお願いします』

「……へいへい」

 如月に言われるがまま、ぽいぽいと食材をカゴに入れていく。何しろ、一人暮らしを初めてから自炊なんて殆どしていない。調味料が少しと、冷蔵庫の中なんて、殆ど空に近い。

『ケチャップでしょ、卵でしょ、鶏肉も忘れずに』

 ああ、何となく今夜の献立が見えてきた。ぐうと腹が鳴る。そういえば、昼から何も食べていなかったっけ。ぼんやりとそんなことを考えながら、一通りの食材を入れ終わる。そのままレジに並ぼうとすれば、如月が「あとは、それとそれ」と指を指した。A4サイズのノート、あとは最近使うことの少なくなった使い捨てカメラだった。