「あ、あの・・・・・・」





どんどんと近付いてくる男の子に、私は驚いて言葉が出てこない。







「こんにちは。」






「こ、こんにちは。」






色白の割にはっきりと喋る子なんだ。






「ここに、入院してるの?」






そんなことしか言葉が出てこない。






パジャマ着てたらそうに決まってるのにぃ!







私、馬鹿じゃないのー!






「そうだよ。






君は?」






意外とスルーされてる。






「私は、少し前にここを怪我しちゃったから、今日は抜糸にきたの。」







「そうなんだ。






僕、要(かなめ)っていうんだ。






小学4年。君は?」







「え?私?私は、斉藤カンナ。私も小4!」






「よろしく。」






そういって要くんは、私に握手した。






男の子に手を握られるのは、初めて。






学校では、子供みたいな男の子ばっかで、こんなに大人びた子は、初めて。






私は自分の顔が真っ赤になってると思った。






「要くんは、いつまで入院するの?」






「わかんない。






小児科に入院してるから、遊びにきてよ。」






「うん!ありがとう!」






そういうと要くんは、私から離れて行った。