点滴の終わった美保は、実に連れられてクリニックの隣にある実の自宅に歩いていった。 「ママー、これはここー?」 廊下にカンナの騒がしい声が聞こえた。 「ごめんな、うるさくて。」 美保はその賑やかな声を聞いて、顔がほころんだ。 リビングの扉を開けると、食欲をそそる匂いが廊下に広がった。 「どうぞ。汚くてごめんね。」 そう言って近づいてきたのは実加だった。 遠慮がちにリビングに足を入れた美保に、手を差し伸べて、美保をリビングに入れた。