「実加、カンナを送り出したら、家のことする前にこっちこいよ。」




実は実加の喘息が心配になった。





カンナを出産し、幼稚園にカンナが入った時から、クリニックの事務仕事を手伝っている。





院長が隠居生活を送りはじめ、実が院長になってからは、愛知大学病院で実の患者だった人がクリニックに来るようになって、以前より一層忙しくなってきた。





いままで事務をしていた事務員さんには、看護師や実の診察の補助をさせたことから、事務仕事をする人がいなくなってしまった。





実加の強い希望で、実加も事務の仕事を覚え始め、今では実加がいないと病院が回っていかない。




実加がクリニックに勤めはじめたからこそ、実加はカンナを送り出してから、慌ただしく家事を済ませ、クリニックが始まる寸前に自体からクリニックに向かう。






だからこそ、実は、カンナを送り出したら、クリニックに来るようにと言ったのだ。