実加はカンナに言われた通り、体がまだ熱い上、怠さが残っていたので、ベッドに再び横なった。







ガラッ





入ってきたのは実だった。






「あれ?カンナは?」








「・・・・・・学校。







病院からバスで家に帰るって。」






「そうか。







体調はどうだ?少し診察するぞ。」







一昨日のケンカのことなんて、全く覚えていないという顔をしている実は、実加の逆鱗に触れたのか、実加は実の手を払いのけた。







「実加っ!






こうやっていつまでも診察を拒否するから、倒れるんだぞ。」







そういわれてしまっては、実加もそれ以上突き返すこともできず、大人しく実の聴診を受けた。







「体の怠さは?」







「・・・・・・もう大丈夫。」







「息苦しさは?」







「・・・・・・ない。」







「こんなに音が良くないのに?」







「・・・・・・うん。







だから、熱が下がったら退院させて。」







「ダメだ!しばらくは様子見だ。







帰れば無理するだろ?」






「・・・・・・。」









実加は何も言い返さず、すぐには帰れない状態を改めて感じ、悲しくなったのか、涙を流した。






「そんなに泣くなよ。」






実が実加の涙を拭った。






けど実加はまだ何かを怒っているのか、実の手を払いのけた。






「どうしたんだよ。






まぁいいや。







俺はこれからクリニックに戻るから。






ここでゆっくり体を休めるんだぞ。」







「・・・・・・。」







何も言わない実加を見て、ため息をつきながら、実は病室を出た。