愛知大学病院で当直中に鳴っている携帯電話を見ると、自宅から。
直感で何か起きたのではと、実は感じた。
「もしもし?」
「もしもしっ!!!パパっ!?」
「カンナか?どうした!?」
「ママがっ!!!ママがぁ!!!」
パニックになりながら泣いている娘に、実加に何事か起きたのだと実はわかった。
「カンナ、落ち着け。
ママがどうした?」
「ママがねっ、ヒック・・・・・・ヒック・・・・・・。
突然倒れて。
呼んでも起きないの。」
「わかった!!!すぐに救急車を家に呼ぶから、サイレンが聞こえたら玄関を開けるんだぞ。」
その会話にただ事でないと気付いた医局にいた先生が、実の方へ寄ってきた。
そして素早く実がメモに住所を書き、寄ってきた先生に目で合図した。
「ママは呼吸してるか?」
「はぁはぁはぁ。ってすごく苦しそう。
それに、すごいデコが熱いの。」
「他には?」
「なんかヒューヒュー聞こえるよぉ。」
「わかった。
じゃあ、俯せになってたら、横に体を向かせることはできそう?」
「うん、やってみる。」
「そのあとにダイニングのテレビ台に、『吸入器』って書いてあるお薬がある。探してきて。」
「あった!!!」
「その吸入器は薬が出るところと、薬を押して出すところがあるけど分かるか?」
「うんっ!説明書きがある。」



