翌日、実は一番に要くんの病室を訪ねた。







「要くん、痛みはある?」







要くんにはカンナの父親という認識はなく、白衣の実を診て医者と思い、頷いた。


  



実は鎮静剤をナースコールで指示し、要くんの寝ているベッド沿いの椅子に腰掛けた。






「悪かったな。」






要くんは黙ったまま実の顔を見た。






「カンナは、俺の娘だ。






本当にごめんな。」






要くんは目を見開いた。






「・・・・・・ち、違い、ます・・・・・・。」






要くんが話そうとしたので、実はマスクを外した。






「ぼくが・・・・・・、いけないんです。」






今度は実が目を見開く。






「僕が、カンナちゃんの後をつけて行きました。






・・・・・・カンナちゃんは、






戻るように言ったのに、僕が勝手に・・・・・・。







僕は、こうなるって、分かっていました。」







しばらく沈黙が続いた。











 


「・・・・・・そうだったのか。」







ようやく実が口を開いた。







少しして、看護師が持ってきた鎮静剤を要くんの点滴に入れ、要くんが寝付くのを待って、実は部屋を後にした。