ありがとう。そして、さようなら

とにかく、毎日が楽しくオートレースの選手気取りの僕らは毎日のようにひたすら自転車をこいだ。


自転車の部品で邪魔な物は全て取り除いた。

ブレーキまでも…


僕らがオートレースごっこに夢中になっているとき、運動公園を毎日走っている推定年齢28才の男性をよく見かけていたが僕らは知ったこっちゃない。
気にもとめていなかったがレースを始めて2~3ヵ月たった頃に、その男性は突然僕らに近寄り

「危ね~きやめちょけ」

とランニング途中で捨てゼリフのように一言言ってまた走って行った。


そんな男性の言葉を聞くはずもなく僕らはレースに熱中したのだが、その日以来、男性は毎日のようにランニング途中で一言添えるようになり、僕らは男性がうっとおしくなるのだが、僕らの仲間の聡君が一言に対し男性とおしゃべりするようになり、聡君は仲良くなり男性の名前が忠男と判明すると、いつしかみんな仲良くなり、こちらは小学生なのに、“忠男君”と大人の男性に対し友達的扱いをし、忠男君もまんざらでもなく、一言言って走ってしまうのは仲間に入りたかったからなのだった。