「お化粧、濃ゆいですかぁ〜…?」


女が俺を見上げて裾を摘む。


『そんな顔しても
可愛くないから止めた方が良いよ。』


上目遣いなんて琉月ちゃんみたいな子が
するから効果があるんだよ。


裾を摘む手をさり気なく払い、
女の横を通り過ぎた。


『琉月ちゃん、蝶舞。授業に遅れんぞ。』


「う、うん!」


「はいさほいさ〜♪♪」


女の事など気にせず、俺らは教室に戻った。

でも、女を怒らせると
何をするか分からないなんて
この時の俺は知らなかった。