君の涙を拭うのは



豊side


「お待たせぇ〜!」


パタパタと軽い足音をたてながら
琉月が戻って来た。


「怜央くん、コーヒー飲める?」


『うん、ありがとう。』


「はい、豊!豊の大好きな苺ミルク♪」


さっきは怒ってたのに笑顔を向ける琉月。

その手には
私の大好きな苺ミルクが握られている。


「ありがと…。」


見た目がクールだと言われる私は
いつもブラックコーヒーと
勝手なイメージを作られていた。


バスケのファンも
ビターな物ばかり差し入れを持って来る。

苦い物が嫌いな私は正直迷惑だったけど、
好意でくれるそれを無下には出来なかった。


思った事を言う性格も
変な所で発揮出来なくて辛かったんだ。